2013年4月13日土曜日

基礎演習で読むテクスト

基礎演習Iのテクストは以下のとおり。

まず肩慣らしとして、『現代思想』(特集=危機の大学)第39巻第18号(2011年12月)から。
C・ニューフィールド著、佐々木夏子訳「コグニタリアートの構造と沈黙」
鈴木哲平「大学の未来、フレンチ・セオリーの現在」
酒井直樹「哲学とポストコロニアリズム:文明的転移と『西洋/その他(the West and the Reset)』という言説」
廣瀬純「知力解放とその頭痛:新自由主義的政治状況における知識人の役割と債務」
村澤真保呂「年、青年期、大学:ポスト・モラトリアム時代の大学」
白石嘉治「未開の大学:フクシマ以後のために」
安藤丈将「『生活民』としての学びのために:1970年代日本の学習運動に見る産業社会への反省のかたち」

GW後からは本格的に3つのテーマに沿って。
[テーマ1 レイシズム]
●酒井直樹「レイシズム・スタディーズへの視座」、テッサ・モーリス=スズキ「グローバル化されるレイシズム」、エティエンヌ・バリバール「レイシズムの構築」、鵜飼哲、酒井直樹、テッサ・モーリス=スズキ、李孝徳著『レイシズム・スタディーズ序説』以文社2012年。
●松葉祥一「移民・市民権・歓待:サン・パピエの運動とバリバール、デリダ」(8章)、「民主主義でも、民主制でもなく:デモクラシーとランシエール」(9章)、「モグラの巣穴からヘビのうねりへ:管理社会とドゥルーズ」(10章)
『哲学的なものと政治的なもの:開かれた現象学のために』青土社2010年。

[テーマ2 デモクラシー]
●土佐弘之「安全保障装置とデモクラシー」(IV)、『野生のデモクラシー:不正義に抗する政治について』青土社2012年。
●アントニオ・ネグリ、マイケル・ハート著、水嶋一憲監訳、幾島幸子、古賀祥子訳「革命」(第6部)『コモンウェルス:帝国を超える革命論』(下)NHKブックス2012年。

[テーマ3 寛容の帝国、連帯の哲学]
●ウェンディ・ブラウン著、向山恭一訳「脱政治化の言説としての寛容」(第1章)、「文明化の言説としての/における寛容」(第7章)『寛容の帝国:現代リベラリズム批判』法政大学出版局2010年。
●重田園江「相互扶助組織の歴史と連帯」(補章3)、「贈与と連帯」(終章)、『連帯の哲学I』勁草書房2010年。

2013年前期のゼミと大学院

採り上げるテクストが決まった。金曜日はこうして、沢山の言霊に出会える。

一見バラバラのこのテクスト群だが、本当にバラバラ。それでも、とても良い仕事を成した鳥山淳さんの編集者が、この専攻の卒業生だったりして、知的な営為を結びつける地下茎のようなものが、数多のテクストとゼミ室を繋げている。タルナックの「不可視」の学生たちから、琉大の「名も無き運動」にもたらされるものは想像するだけでスリリングだし、差別の心理を考える学生が思いがけずポストコロニアル・スタディーズに手を伸ばしていたり、予備知識などなくてもタルドが読みたいと思いついてしまう大学生がいたりするのが、大学の大学たる良さだと思います。夏休みが楽しみになりました。


■前期テクスト一覧(5限は学部ゼミ、6限以降は大学院「文化研究」として。)
4月19日
ヴィジャイ・プラシャド著、粟飯原文子訳『褐色の世界史:第三世界とは何か』水声社2013年。[Vijay Prashad The Darker Nations: A People's History of the Third World (New Press: New York, 2007).]
市野川容考・宇城輝人編『社会的なもののために』ナカニシヤ出版2013年。

4月26日
(monacaセット)
向井孝『暴力論ノート:非暴力直接行動とは何か(増補版)』(黒La Nigrecoパンフシリーズ)「黒」刊行同人2011年。
不可視委員会著、『来たるべき蜂起』翻訳委員会訳『来たるべき蜂起』彩流社2010年。
『来たるべき蜂起』翻訳委員会+ティクーン『反ー装置論:新しいラッダイト的直感の到来』以文社2012年。
現代理論研究会編『被曝社会年報』#01(2012-2013)。

5月10日
マウリツィオ・ラッツァラート著、村澤真保呂・中倉智徳訳『出来事のポリティクス:知ー政治と新たな協働』洛北出版2008年。
鳥山淳『沖縄/基地社会の起源と相剋:1945-1956』勁草書房2013年。

5月17日
春日直樹『「遅れ」の思考:ポスト近代を生きる』東京大学出版会2007年。
チャンドラー・タルパデー・モーハンティー、堀田碧著、菊地恵子・吉原令子・我妻もえ子訳『境界なきフェミニズム』法政大学出版局2012年。

5月24日
中溝和弥『インド暴力と民主主義:一党支配の崩壊とアイデンティティの政治』東京大学出版会2012年。
マウリツィオ・ラッツァラート著、杉村昌昭訳『<借金人間>製造工場:“負債”の政治経済学』作品社2012年。

6月7日
フランコ・ベラルディ(ビフォ)著、廣瀬純・北川眞也訳『NO FUTURE:イタリア・アウトノミア運動史』洛北出版2010年。
仲里効『フォトネシア:眼の回帰線・沖縄』未来社2009年。

6月14日
栗原彬『「存在の現れ」の政治:水俣病という思想』以文社2005年。
(先達たちの論文から盗み取る)
村上陽子「<他者>との連帯の可能性に向けて:長堂英吉『黒人街』論」『昭和文学研究』第66集(2013年3月)。
大野光明「『沖縄問題』の『入り口』で―べ平連の嘉手納基地ゲート前抗議行動と渡航制限撤廃闘争」、天田城介・山本崇記・村上潔編『差異の繋争点:現代の差別を読み解く』ハーベスト社2012年。
上原こずえ「民衆の『生存』思想から『権利』を問う:施政権返還後の金武湾・反CTS裁判をめぐって」『沖縄文化研究』39(2013年3月)。
森啓輔「沖縄社会運動を『聴く』ことによる多元的ナショナリズム批判へ向けて:沖縄県東村高江の米軍ヘリパッド建設に反対する座り込みを事例に」『沖縄文化研究』39(2013年3月)。

6月21日
陳光興著、丸川哲史訳『脱帝国:方法としてのアジア』以文社2011年。
(特集・大学院生のリアル)
樫村愛子「『何者』と「就活デモ」を結ぶ線」『現代思想』(特集・就活のリアル)vol.41-5(2013年4月)。
白石嘉治「就活のアンナ・R」『現代思想』(特集・就活のリアル)vol.41-5(2013年4月)。

7月5日
ガブリエル・タルド著、池田祥英・村澤真穂呂訳『模倣の法則』河出書房新社2007年。
ポール・ウィリス著,熊沢誠・山田潤訳『ハマータウンの野郎ども』筑摩学芸文庫1996年[筑摩書房1985]。[Paul E. Willis, Learn to Labour: How Working Class Kitds Get Working Class Jobs (Ashgate Publishing: London, 1977]

7月12日
竹村和子『文学力の挑戦:ファミリー・欲望・テロリズム』研究社2012年。

9月17-19日(仮)合宿企画「スピノザの夏休み」
→ドゥルーズ、バリバール,ネグリなどのスピノザ論に新装朝日家で耽溺できる(仮)企画。
(文献案)
G・ドゥルーズ著、鈴木雅大訳『スピノザ:実践の哲学』平凡社ライブラリー2002年。
エティエンヌ・バリバール著、水嶋一憲訳『スピノザと政治』水声社2011年。
アントニオ・ネグリ著、信友建志訳『スピノザとわたしたち』水声社2011年。